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【松林薫】マスコミは「良い子」でいいのか

From 松林薫(ジャーナリスト・社会情報大学院大学客員教授) 

[筆者の許可を得て、『表現者クライテリオン』最新号の掲載記事の一部を、編集部より配信しています]

 最近、若い記者と話していて感じるのは「まとも」な人が増えたということだ。筆者が新聞社に入ったころは、学生時代に何をしていたのか聞くと「バックパッカーとして海外の危険地帯を巡った」とか、「スポーツに打ち込んで卒業が遅れた」といった武勇伝を面白おかしく語り始めるというのが相場だった。今は自分の専攻分野や留学体験について話す人が多い。二十年でずいぶん変わったものだ。

 真面目で勉強熱心な人が報道の世界に入ってくること自体は喜ばしい。「記者のサラリーマン化」「小粒化」を嘆く声も筆者の学生時代にはすでにあった。そもそも私自身も常識人なので、記者はアウトローや変人に限るというつもりは全くない。

 ただ、報道機関がそうした人ばかりになっていく傾向には一抹の不安も感じる。表面的にはどれだけ「普通の会社員」に近づいたとしても、記者は法のグレーゾーンで活動せざるを得ない宿命を負っているからだ。

 報道機関に勤める以上、刑務所の塀の上を歩く覚悟が求められるのは今も昔も変わらない。リスクの高い職業だと思われていたからこそ「まとも」な人が敬遠していたのだし、一目置かれてもいたのだ。報道機関がその事実に無自覚になり、品行方正なタイプばかりを集め始めたのだとすれば、日本のジャーナリズムの未来は危ういと言わざるを得ない。

 新聞社の新人研修でまず言われたのは、「今日から君たちは記者になったのだから、取材源は絶対に守らなければならない」ということだった。たとえ裁判で取材源を明かすように求められても拒否しなければならない。自分が起訴されるなど、結果として不利益を被る可能性がある場合も同じだ。

 世間の常識から言えば、捜査や裁判に協力することは善良な市民の義務だろう。しかし、報道業界には別の倫理と掟がある。入社前から知ってはいたが、実際に研修で言い渡されると身が引き締まる思いがした記憶がある。

 現場に出て取材を始めると、自分たちが危ない橋を渡っていることを何度も思い知らされることになった。官僚に機微に触れる質問をすれば「自分が何をしているか分かってるのか? 国家公務員に守秘義務違反をそそのかしてるんだぞ」と脅される。取材先に「それを書くなら名誉棄損で訴える」と言われることも少なくない。

 もちろん、報道(出版)や言論の自由は憲法で保証されているし、取材源を秘匿する目的での証言拒否などについては判例で一部認められている。ただ、判断が難しいケースはいくらでもあるし、判例は時代とともに変わり得る。明確に違法でなくても、常にグレーゾーンで仕事をしていることは間違いないのだ。(続く)

※続きは、『表現者クライテリオン』最新号でお読み下さい。

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