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【藤井聡】10/16発売、表現者クライテリオン2023年11月号 巻頭言

藤井 聡

藤井 聡 (表現者クライテリオン編集長・京都大学大学院教授)

10月16日発売!最新号『表現者クライテリオン2023年11月号』の特集タイトルは、

「過剰医療」の構造

病院文明のニヒリズム

本日は本誌編集長の藤井聡先生による「巻頭言」を公開いたします。
本特集の企画趣旨をご一読いただくとともに、ご関心をもたれましたら是非ご購入予約の方をお願いいたします。
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巻頭言

 我々にとってなくてはならない「医療」。しかし、それが「過剰」な水準に達した場合、
逆説的にも我々に様々な「被害」がもたらされることになる。薬の過剰摂取は体に毒で
あるし、健康に配慮しすぎて味気ない暮らしになれば我々の幸福が大きく棄損する。
さらには過剰医療が加速すれば、医療費の肥大化に恐れをなした政府が過度に緊縮的に
なり、その結果経済が疲弊していくということにもなる。
 こうした過剰医療の背後にあるのが生命至上主義という名のニヒリズム(虚無主義)だ。
このニヒリズムと拝金主義者が結託し、生命至上主義を言い訳にして過剰医療を加速させ
つつ効率的に患者達と政府から大量のマネーを吸い上げ続けるという詐称的システムが、
今の日本の医療界において構築されてしまっている。
 本特集では、こうした状況はもはや「病院文明」と呼ぶに相応しいものに堕落した
文明状況であることを描写しつつ、そこで横行する過剰医療の恐るべき不条理を明らかに
すると共に、その超克の術を考える。
                      表現者クライテリオン編集長 藤井聡

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