さる2月16日、遂に『表現者criterion』の創刊号が発売となりました。
約半年の準備期間を経ての発売。その間、前身誌である『発言者』を創刊された西部邁先生のご逝去をはじめ、様々な紆余曲折もありましたがようやく発売に漕ぎ着けることができました。
読者をはじめとした関係各位のご支援、ご協力に心から御礼申し上げます。
そしてこの創刊にあわせ、この雑誌で論じている議論や思想を多くの方にお届けするために、そして、「一日一度」は、この表現者の世界にお触れ頂くことを企図し、本日よりこの『表現者criterion』メールマガジンも開始いたします。
https://the-criterion.jp/category/mail-magazine/
この記事はその記念すべき第一回。
ついては、今回はまず、本誌「創刊号」の内容、とりわけその第一回目の特集「保守とクライテリオン」での議論の一端をご紹介したいと思います。
https://the-criterion.jp/backnumber/77_201803/
本誌は『危機と対峙する保守思想誌』として創刊されたものですが、そのタイトルに「基準」を意味する「クライテリオン criterion」という言葉を付与しています。
なぜ我々が、この雑誌の名前に「クライテリオン」を付与したのか、そしてそのサブタイトルをなぜ、『危機と対峙する保守思想誌』というものにしたのか───その意味が、すなわちその「必然性」が、これをご一読いただければ、クッキリとご理解いただけるものと思います。
そもそも、「保守」の根幹にあるものは「生き続けんとする意志と実践」
したがってそれはつまり、「死んでしまうこと」を避け続けるものなのです(だからこそ保守思想は「生の哲学」なのであり、死に至る病たる「ニヒリズム」と徹底的に闘い続ける「実存哲学」なのです)。
では「死」というものをもたらすものが一体何なのかと言えば───それは「危機」crisisです。したがって、「保守思想」とは畢竟、「危機」と対峙し続けるための思想なのです。
かくして本誌が保守思想誌である以上、その本懐は「危機との対峙」とならざるを得ないわけです。
では「危機」と対峙するために何が必要なのかと言えば──それこそ、あらゆる局面で何が「死」につながり何が「生」に繋がるのかの基準(クライテリオン、criterion)です。
その基準が無ければ我々は薬を飲むべき所で毒を飲み、毒を避けるべき所で薬を避け、生き続けることそれ自身が出来なくなるからです。
現在日本が長期のデフレなのも、科学技術力が衰退しつつあるのも、北朝鮮の核攻撃が現実的に危惧されているのも、巨大地震によって国難の危機に直面しつつあるのも、はてはあらゆる地域や社会や家庭が崩壊しつつあるのも、さらには一人一人の精神の活力が失われ、「自分探し」なるものが横行するようになってしまったのも全て、この私たちの日本の中で生に向けた「クライテリオン=基準」が溶解し、失われつつあるからに他なりません。
したがって「危機と対峙する保守思想」は必然的に、「クライテリオン=基準」を探し続けなければならなくなるのです。
かくして本誌は、今、まさに急速に失われつつある、あらゆる局面における死を回避し生を求める「クライテリオン=基準」を探り当て、打ち立てんとする決意を表すべく「表現者クライテリオン」と名付けられるに至ったわけです。
もしも、様々な局面でのクライテリオン=基準を巡る議論が活性化し、それが少しずつでも打ち立てられることができれば、我々は今よりも随分と生きていきやすくなります。結果必然的に、安寧と活力ある生を営むことができるようになります。
その試みが功奏すれば、社会からニヒリズムは退潮して現代人達の(存在論的な)不安は消滅し、自分探しなるものに従事する若者達も消え失せ、個々人の精神も各々の家庭や地域も活力を取り戻し、デフレも終演し格差も縮小し、安全保障は強化されて外交力も増進し、国運が大きく回復し、我が国が黒船襲来後はじめての「真の独立」を打ち立てることに成功することとなるでしょう。
本誌はそんな巨視的構想の下、危機(cri-sis)と対峙するための基準(cri-terion)を探し求める批評(cri-tique)を徹底的に展開せんとするものなのです。
本誌の言論の流れを作り、保守し続けてこられた西部邁先生ご自身が永眠されるという衝撃の中での船出となった『表現者criterion』───しかし我々はこうした事実をしっかりと受け止め、あらゆる危機と対峙しつつ、我々の生を旺盛に展開せんがための全力の闘いを進めたいと思います。
ついては読者各位におかれましては是非、本誌『表現者criterion』、そして、一日一度ずつ本メールマガジンにも、お触れ頂きたいと思います。
これからの『表現者criterion』、是非ともご支援ご協力の程、御願い申し上げます。
(※ 明日は、柴山桂太さんの配信となります。乞うご期待。)
PS1:本誌『表現者criterion』にご関心の方は是非、こちらから。
https://the-criterion.jp/backnumber/78_201805/
PS2:『表現者criterion』の創刊にあわせ、「週刊ラジオ表現者」も始めています。過去のアーカイブはこちら。
https://the-criterion.jp/category/radio/
今晩直接お聞きいただける方はこちらでご視聴ください(KBS京都)。
https://radioinfo.radiko.jp/?action=program&type=p&st=KBS&tm=20180219213000
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