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【城内 実×中村裕之/聞き手・藤井 聡】積極財政の政治を実現せよ②

啓文社(編集用)

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皆さん、こんにちは。
『表現者クライテリオン』編集部です。

 

前回のメールマガジン配信より、『表現者クライテリオン』最新号より、「積極財政の政治を実現せよ 自民党衆議院議員 城内 実・中村裕之両氏に聞く」を4回に分けて特別公開しています!

この機会にぜひ、お読みください。

積極財政の政治を実現せよ

自民党衆議院議員 城内 実・中村裕之両氏に聞く

 

一政府機関の財務省が予算の上限を決めるという異常な政治を止め、いかに”財政民主主義”を取り戻すか――。
真に国を思う積極財政派議員が熱く語る!

 

城内 実×中村裕之/聞き手・藤井 聡

 

国債発行を排除する愚かな議論

藤井▼防衛増税については昨年末、先生方が党内で様々な議論をされたと思います。外部からヒヤヒヤしながら見ていたのですが、内部ではどんな議論があったのでしょうか。

 

城内▼まず、官邸の中に有識者会議ができて提言を出しましたが、初めから「防衛費増額には国債の発行を排除する」という財務省のシナリオ通りになっていました。国防族の議員の皆さんは「国防の中身の議論もちゃんとせずに、何で有識者会議だけで決めるんだ」と怒っていました。

そして、それを元にした、増税の結論ありきで、復興特別所得税や法人税などの基幹税の変更が載った政府案が自民党の会議で示されました。

 

中村▼わずか十日ほどで一兆円に及ぶ増税を決めるのは前例がないと思います。

 

藤井▼私はそもそも防衛に関する国債発行を戦後一貫してずっと忌避してきたことが極めて問題だと認識していました。その意味で、今回一六〇〇億円を建設国債で充当することになった、というのは一つの大きな進歩だとは思います。

ですが、防衛施設の建設関係の予算として想定されているのは一兆円なのですが、これについては全額、建設国債で対応できるのです。

だからそうすれば「一兆円の増税」そのものが要らないという結論がスグに出ることになる。だから今回、建設国債の発行をわざわざ一六〇〇億“だけ”に限定しているのは、増税するという結論を導くためにあえてやってるだけなんじゃないか、としか思えない。全くもってふざけた話です。

 

城内▼緊縮財政派は、「減税という選択肢はない」、「国債発行は将来へのツケだ」と主張していますが、政策というのは色々なツールがあった方がいいに決まっています。あの緊縮の権化の国のドイツだって、NATO基準のGDP比二%の防衛費を国債で対応しているわけです。

 

 コロナ対策だってそうです。日本は消費税減税をしませんでしたが、減税で対応した国が結構ありました。何で最初から減税というツールを排除するのか。

 

 元大蔵官僚の本田悦朗先生がおっしゃっていましたが、財務省の主要ポストは一、二年で異動するため、その間にいかに政治家の無理難題をはねつけたか、消費税を上げたか、予算を削ったかによって評価されるそうです。

ところが、一兆円の予算を研究開発に使ってワクチンを開発して、十年後には十倍のリターンになって元を取れました、みたいな話は数年先の話なので評価されないんだそうです。つまりは、目先の利益や収支にこだわり、未来への投資、長期的なリターンを求めるという観点がないんです。

 

藤井▼資本主義の下でそういう発想では百パーセント敗北しますよね。そもそも資本主義では全ての経済主体が融資を受けて、投資して、成長して、回収し、返済していく、ということをやりながら、誰がより早く成長できるのか、っていう競争をしている。

そんな競争社会こそが資本主義なわけですが、その資本主義において投資しない奴は、最初から負けることが確定するわけです。

緊縮派はすぐ「投資したって成功する保証がないじゃないか、だったら、危なくて投資なんてヤメろ!」と言いますが、投資しなければ成長できないんだから、百パーセント敗北することが確定する。一方で、投資すれば勝利する希望が必ず生まれる。

絶望と希望だったら、希望を取るのが当たり前。だから、緊縮思想は、この資本主義では確実に自滅することが約束されているわけです。

 

六十年償還ルールの見直しを

藤井▼ここで防衛増税の話に戻りますが、二三年の年始から始まる国会で、財務省は「財源確保法」(仮称)を提出して法的に増税を決めてしまうのではないかと心配しているのですが、その一方で、萩生田政調会長が自民党の政調会の中に財源の検討会を立ち上げるという動きもあります。

このあたりは今どういう状況でしょうか。

 

中村▼防衛力強化の財源については、まずは歳出改革、第二に剰余金の活用、第三に税外収入、それで間に合わない部分は増税という四つの案が税調で政府側から示されました。

このうち、増税以外の三つについて財源確保法で規定する動きがあるのですが、これをやられると、歳出改革で今の厳しい予算をさらに削るのかということになってきます。そうはいかないだろうということで、一般会計歳出の中にある一六兆円の債務償還費を歳出改革の一番のターゲットにすべきだと我々が提案しました。

 

藤井▼一般会計の中で債務の償還費が支出として計上されているけれど、外国の一般会計では計上していませんよね。単に借り換えているだけの話ですから。それを計上しないようにしたら、一六兆円を財源として使えるじゃないかということですね。まさにおっしゃる通りです。

 

城内▼中村さんたちの最大の成果の一つは、世耕参議院幹事長や萩生田政調会長に六十年償還ルールを見直すべきとする提言を丁寧に説明し、世耕幹事長や萩生田政調会長に「六十年償還ルール」の問題点を重要視してもらえたことです。

ようやく、「六十年償還ルール」が新聞にも掲載されるようになりました。これは財務省が一番触れられたくないところです。

 

藤井▼朝日新聞の二〇二三年一月十二日の朝刊には、「国債返済ルール、見直し議論 自民、『60年償還』の廃止や延長想定」という記事が載りました。

残念ながらこの記事は「これを見直してしまうと国債の信認が危ない」という論調ですが、どうやって六十年償還ルールを撤廃したら「国債の信認」とやらが危なくなるのか言ってみろという話です。そもそもよその国には六十年償還ルールなんてないのに、信認とやらが失われているわけじゃないんですから。

 

中村▼一般会計歳出に一六兆円の債務償還費があり、六十年償還ルールをやめたらこの一六兆円はなくなりますが、この一六兆円は「ワニの口」の上顎に入っています。下顎は一般会計税収ですから、一六兆円少なくなると閉じていきます。

今までの「ワニの口が開くから財政が厳しい」という説明ができなくなるということです。

 

藤井▼読者の皆さんに手短に申し上げますと、六十年償還ルールというのは国債を発行したら六十年間は借り換えできるけれど、六十年経てば借り換えしてはダメです、というルールです。

そうなると、国債の償還は全て「税金」などの収入で返さなければいけなくなる、ということになります。だから、岸田内閣はいつも、少子化行政や防衛行政の規模を拡大するには、増税しかない、なんて思っているわけです。

彼らは、「国債は結局税金で返さないといけないんだから、予算増やすなら、増税が絶対必要ダ~」なんて信じてる。で、なんでそんなこと信じてるのかというと、六十年償還ルールがあるという前提で考えているからです。

 

 しかし、こんなルールを持ってるのは日本だけなんです。じゃぁ、外国はどうしてるのかというと、例えば欧州には「財政が黒字になれば借り換えずに国債の償還に充ててもいい。だけど、財政が赤字なら借り換えを続ける」というルールがある。

要するに、金が余っているなら国債を返していいけれど、余ってなけりゃ、借り換え続けりゃいい、というのが外国の一般的ルールなんです。

 

中村▼借り換えし続けて何ら問題ないということですよね。

 

藤井▼何ら問題ありません。だから、六十年償還ルールに積極財政議連の皆さんが着目し、これを国際標準の当たり前のものに変えましょう、という議論を始められたことは、日本が真っ当な財政政策によって“復活”を遂げる上で、極めて重要な展開となったと思います。

 

城内▼他の先進国がやっていることを日本もやればいいだけで、それで信認が失われるなんてあり得ません。これまで実際に国債の償還を停止したことがありますが、何ら問題ありませんでした。

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次回配信は2/28(火)の予定です!

 

 

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